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布団の中でだけ育つ植物

妖精に乳首はねえ

桜のこと

若い緑の芽が萌え、濃い桃色の粒たちがなり、他の奴らがとうに散ったころにおっとりとその薄桜を咲かせ、そんな中途半端な葉桜はとてもきれいで、どうして葉より花が先に開くのかしらと思いながら橋の上から見ていた水面に映る桜もあっという間に散り、いつの間にやら私の最も好きな姿へとその形を変え、ああこれは良いと思っておりましたのも束の間、先日の大雨がすっかり遅咲きの花弁もみな洗い流し、これではただの緑の木、これからは夏の訪れを予感させるだけしか能のない力強くつまらない木となってしまいました。若く光に輝く緑と、濃くしっかりと己を感じさせる桃と、他の二つに比べて少し呆けた薄紅色の、美しい三つが綺麗に整っておりますから、褒め、愛してもいましたのに、そのうち一つでも欠けてしまえば私のつまらない感性の中では別段素晴らしいものにも見えなくなってしまいます。きっと彼らはそんな私のことなど意に介すことなく強く三つの季節を乗り越え、次の萌芽へと向かうのでしょう。