布団

妖精に乳首はねえ

不法侵入だけは絶対にやめておきなさいよという訓戒

坊主が嫌いだ。寺の坊主が嫌いだ。税金を納めなくていいことに豪遊している坊主はもちろんのこと、大体の坊主が嫌いだ。いい坊主もこの世にはいるのかもしれないけれど、僕の短い人生で登場した坊主は一人しかまだいなくて、その坊主が嫌いだ。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いとまではいかないが、坊主が憎いので全坊主が憎い。

 

 

大学生の時、みんなで合宿に行った。山奥の民宿に大勢で泊まって元気に騒いでいたわけだが、少し眠ってしまってふと起きたときに、民宿の近くにある寺に行ってみようと急に思い立った。周囲も寝ていたので一人でフラフラと歩いた。明け方の寺への道は、春のきつすぎるつんとした緑のにおいと土のにおいと川の音がした。杉やら何やら背の高い木がたくさん立っていて、まあとにかくそんな具合の日本の田舎ならどこにでもあるような山だった。20分ほど舗装されてはいるものの道路とはいいがたい急な勾配を登り続けたころ、ようやく寺の姿が見えて、少しの達成感と疲労を覚えた瞬間、たまたま坊主が寺の雨戸を開けた。坊主は賽銭泥棒か何かと思ったようで、怒号を発して追いかけてきた。反射的に逃げ出したのだが坊主は軽トラに乗って追いかけてくる、軽トラかよ嘘だろ、ああ軽トラのために道が舗装してあったのか、隣の渓流に身を投げ込んで逃げようかな、などいろいろ考えながら足を回していると当然追いつかれた。謝ろうと思って身構えると軽トラから出てきた坊主は鉈のような刃物を持っていて。「誰じゃお前は!」「いやすみません」「何しに来たんじゃ!」「いやほんとにちょっと気になって見に来ただけなんですすみません」「警察呼ぶかコラ!」「ほんとすみません」おなかにあと10cmもすれば刃物の先端が届くというこの状態で警察を呼んだらどちらが捕まるのかなあとか、すごい汗をかいているなあとか、思考が渦巻いた。なんだかんだで許してもらって民宿に逃げ帰った。ああ、坊主憎けりゃ鉈まで憎い。

f:id:chang_chang:20151108112952j:plain